長い間のマスク生活で呼吸が浅くなっています

2023/07/18

呼吸が浅い人が増えています!マスクで隠れ酸欠!? 心身へのデメリット&改善方法

昨今のマスク生活と家に居る時間が増えたことによる運動不足などから、ねこ背姿勢になるなど、呼吸が浅くなっている人が急増! 呼吸が浅いと心身に多くのデメリットが。そこで、呼吸が浅くなることで体にどんな影響が出るのか?また、その改善方法とは?呼吸についての細かな疑問まで、医師・医学博士の根来先生のお話の記事をご紹介。

■ちゃんと呼吸ができないと、何が問題なのか

●だるさや疲れがとれにくい

ミトコンドリアに酸素が届かず、エネルギー産生が低下し、だるさや疲れが発生。

●肩コリや腰痛が生じやすい

筋肉細胞で酸欠が起きると、肩コリや腰痛などが起きやすくなる。

●免疫力が下がる

交感神経優位で血流が悪くなり、免疫細胞が全身に届かず免疫力が低下。

●集中力が低下する

脳の細胞で酸欠が起きると、集中力が低下したり、頭の回転が鈍くなる。

 

■呼吸が浅いと細胞が酸欠状態に

「マスクをしていると吸い込む酸素の量が下がって息苦しくなるので、これをカバーしようと呼吸回数が増え、呼吸が浅くなりがち。また、リモートワーク続きでパソコンに向かう時間が増え、ねこ背ぎみの人が多いですが、ねこ背だと気道が狭くなっておなかが圧迫され、横隔膜が動きづらくなるので呼吸が浅くなるのです」

では、呼吸が浅いとどういう問題が起きるのだろう?

問題なのは呼吸が浅いと、細胞呼吸がうまくいかなくなる点。
 

「呼吸が浅くなると呼吸の回数が増え、吐き出す二酸化炭素がさらに増えます。すると細胞でヘモグロビンから酸素がうまく切り離されず、ミトコンドリアに届かないため酸欠状態に。その結果、エネルギー産生が低下してだるさや疲れが生じたり、筋肉細胞で酸欠が起きると肩コリや腰痛が起きたり、脳で酸欠が起きると集中力が低下したりといった問題が起きます」

また、自律神経にも影響が。

「呼吸が浅いと自律神経のうちの体を緊張・興奮モードにする交感神経が優位になります。すると血流が悪くなるため、肩コリや頭痛、冷えなどが起きたり、免疫細胞が体の隅々に届かず免疫力の低下も招きます」

 
■呼吸が浅くなるのを防ぐためには

●口呼吸を直し、横隔膜の動きをよくして深い呼吸を

呼吸が浅くなるのを防ぐためには、こまめに浅い呼吸をリセットすることが大切です。
マスクをはずしたときに浅い呼吸を深い呼吸に正しましょう


それには呼吸筋を正しく使えるようにすることです。呼吸が浅いと、横隔膜などの呼吸筋が使われず衰えてしまいます。するとふだんの呼吸がどんどん浅くなり、深い呼吸をしようとしてもうまくできなくなります。ですから横隔膜をよく動くようにすることも大切です

横隔膜は肺のすぐ下にあるドーム状の筋肉。

「理想的なのは、肺の上から一番下までに空気を送り込む、横隔膜の可動域を最大限に使った呼吸。ねこ背姿勢になっていると横隔膜をはじめとする呼吸筋がこり固まり、胸郭が閉じて浅く短い呼吸に。胸郭をしっかり開いて呼吸筋を活性化させましょう。また、息を吐くのが苦手な人には風船がおすすめ。頰が膨らまないように口をすぼめておなかからゆっくり長く息を吐き風船を膨らませる。息を吐きながら横隔膜が上がっていく感覚をつかんでみて」。

《1》吐く

鼻から息を吐いたとき、肋骨が閉じて下がるか確認。横隔膜がしっかり上がっていないと肋骨があまり閉じず下がらない。

《2》吸う

両手を肋骨のわきに当て、鼻から息を吸い、肋骨が前後左右に広がるか確認。横隔膜が下がりきっていないと十分に広がらない。

《3》ゆっくりと口から細く長く息を吐く。おなかを絞るようなイメージで。

マスク着用で速く浅くなった呼吸をゆったりした腹式呼吸に切り替えます。人のいない場所でマスクをはずして取り入れましょう。副交感神経も優位になり、リラックスするこの呼吸法で全集中の呼吸をイメージして行ってみてもよいかもしれません